【クリラボ】第5回WS 感性アートワークショップ by なるかわしんごさん

自分の感情と向き合い感性を磨くワークショップ


今回のワークショップは今までと少し違うコンセプトで開催。

発想法を学ぶのとはちょっと違う。その前の段階。

自分の感情と向き合うというところにフォーカスしています。

感性を磨くことで、自分をあるがままに表現できるようになる。

理性とは違う、感性的な表現方法と内省の方法とはどんな方法なのか?

社会起業家のなるかわしんごさんにお越しいただき、ワークを行いました。

 

響く人には響くワークショップを心掛けました。

参加人数が成果ではなく、誰かの心の中に行動変容が起きたり、

ココロの動きに変化があることを狙いとしました。

だから、みんなから理解されるWSではなく、

今その人の立場で感じることを正直に言い合える環境を作りだすことで、

お互いの違いを認め合ったり、受容できるようになる。

 

そんな願いを込めたワークショップです。

なるかわさんは今までに2000人以上の子供たちと、

ワークショップを実施されてきた経験から、

子供たちの感情や心の動きを察知したり、

受容したりしながら、その子が感じていることを受け止めて、

やりたいようにやらせてあげる環境作りをしてこられました。

前回ワークショップの大橋さんにご紹介頂き、今回このようなご縁を頂きました。

 

絵を描くという行為を通して自分と向き合う


さてさて、さっそくワークショップです!

机の目の前にFABER CASTELの色鉛筆が!クレヨンがたくさん置かれました!

なるかわさんが自前で持ってきてくれました。

事前に絵を描きます!と告知していましたが、絵が苦手な人でも出来るワークですということで、

参加してくれた方々もたくさんいました。

だから会議室に入るなり、躊躇している人も...。ごめんね。騙したわけじゃないんだよ。

Kくん。「でも楽しかったです!」と言ってくれたから!

 

僕はFABER CASTELの鉛筆を愛用しています。

子供たちはFABER CASTEL製の36色の色鉛筆を使っていますので、

お馴染みの道具たちです。

凄く描き心地が良く、芯が柔らかいのでとっても描きやすいです。

 

そして思い思いに色鉛筆を持って絵を描くワークが始まりました。

みんなそれぞれ個性的な絵を描いています!

人の絵を見ると、そういう視点もあるのか!?と発見の連続。

雲みたいに連続するリズムを描く人、

虹色のグラデーションを表現する人、

八文字を描いてみる人。

みんな表現するものが違います。

 

さてこの後はA4一枚に描いた絵を切り抜く作業。

ここまできてしまった!と思った方がたくさんいました。

A4の紙を塗りつぶすことに専念していた人にとっては、

いきなりここでパラダイムの大転換を余儀なくされるのです。

完成した作品を創ろうとしていた矢先の崩壊事件が勃発。

僕はもともとネタを知っていたので、このショックの大きさがどれほどなのかは計り知れません。

WS後のアンケートを見ると、このカット作業は苦痛だった人さえもいるようです。

 

これは常に大人の社会では成果を求められ、完成したアウトプットを求められるので、

予め予定を組んで構成を事前に考えて仕上げていくという一連の作業がノルマ化しているということでもあると思いました。

その予定調和が崩れた時に人はどんな感情が産まれてくるのか?


もう...

そんなこと言ったって。

作品完成してるから切り抜けないよ。

という人。


納得いかないから、

もっとカットしてみよう!と考える人。


などなど。その人の受け止め方、

感じ方によって行動も変わってきます。

これが狙いでもありました。

 

振り返りの中でなるかわさんがボソッと言った一言に全てが詰まっていました。

「みんな真面目過ぎるから、自分の感情をもっと大切にした方が良い。
 普段感じてるけど、言えないことってあるじゃないですか。
 それを言い合える関係こそ、安全な場だと思います。
 別に怒ったって良い。その感情を認め合えることが大切。
 僕はこう感じたけど、あなたはこう感じたんだね。
 とそこまでで良い。お互い感じたことを受容できる環境こそ安全な場になる。」
「アンケートも取りましたが、ワークの意味が分からないという意見もありました。」
「覚悟の上やっています!」と即答をいただきました!

絵が先か?言語が先か?


なるかわさん曰く、
「今回の参加者は、全体的に絵を描いて感情を表現するのは苦手なようだったので、
 後半は皆んなに喋ってもらいました。喋る事の方が得意な人が多かったから、プログラムを変更しました。」
 という洞察。確かに商品の開発をしている営業マンが多いから、そうなのかもしれません。
 デザイン出身の自分はもっと描きたかった!!というのが正直な想いだし、そういう人もチラホラいました。

感じたことを言える環境、認めあえる環境


なるかわさんが役員をされているひだまりの丘では、
月に一回、どうだったか感じたこと言い合う場があるそうです。
楽しくない、辛い、解決出来なくてほんっと悩んでる、寂しい、悲しい、メッチャムカツク、ありえない!
など、ネガティブな感情さえも、その人から出てきた感情として、全て容認する環境。
 
本当になんでも言い合える環境と人。
自分の感情をさらけ出しても受け止めてくれる仲間がいることで、
安心して個性を発揮できる場所でこそ人は輝けるのだろうなぁと感じました。
今回のワークショップがその布石になったら良いと思います。
なるかわさんにはいつも社員から相談があるそうです。
「僕に相談にきてもらうんじゃなくて、誰にでも言える環境にしてかなきゃ行けないんです。」 
という言葉を聞いて、時間はかかるけど、
そういう環境と場の一つとして、クリラボがなれたら良いなぁと思いました。
感じて行動する。
その第一歩はその感じたことを認め合える仲間がいることだということをなるかわさんから学びました。

感情表現を容認してもらえる環境があると人はどうなるか?

数値目標ばかりを追っているとみんなどうなんだろうか?
疲弊しているんじゃなかろうか?
という問いかけに対して、
なるかわさんからはこんな視点をアドバイス頂きました。
評価と感情を分けてから、セットで考えると良いですよ」との事でした。
「例えば、売上はメッチャ上がったんだけど、本当辛かったです。とか。」
「売上ゼロですけど、開発はメッチャ楽しかった!とか。」

 

定量的な客観的な成果と、感情をセットにしてあげて、受容できる安全な場を用意してあげる
それだけで良い。確かにその通りだと思いました。
ネガティブな事ってなかなか社内で言えないじゃないですか。
そこを思い切って誰かが声をあげてみる。

WS参加後 子供との接し方に変化があった


■家に帰って気付いた自分の変化
子供たちとの接し方が今までと少し変わりました。子供たちがどうなのか?を聞くようになりました。
どう?絵を描いてて楽しい?どんなふうに?先生に怒られてどう感じたの?今日一日どうだった?
楽しかったことは?うれしかったことは?悲しかったこと、怒ってしまったこと。
など。

今までに聞いたことがない質問を投げかける自分がいて、自分の中で今回のWSをしたことで、
子供との接し方に変化が出てきたことが一番の収穫でした。
子供と親の距離を縮めつつも、近くなりすぎると価値観の押しつけになりがちなので、
お互いの心のカギは公平に持ちつつ、コミュニケーションをしていきたいと感じました。
感じて動くってこういうことなのかもしれません。

「おとうさんの地図」という絵本の大人たちは子供のことを後押ししてくれる


「おとうさんの地図という絵本のことをSNSで紹介されてましたよね?
 コメントの中に、周りの大人たちがこの絵本に登場する人たちばかりだったということを書かれていましたが、
 どういうことなんでしょう?」

「ネタバレになっちゃいますがw。ユダヤ人の家族の話で、子供がお腹が空いたからパンが欲しいって言うんですね。
 でもおとうさんは地図を買ってくるんです。そしてその地図を子供に渡すんです。当然お母さんは怒りますよね。
 なんで地図なんて買ってくるの?って。これ母性ですよね。
 でもおとうさんは子供に色々な世界を見せてあげたいんです。この父性って大切なことなんじゃないかと」
「なるほど!なるかわさんの周りにはそういった大人がいっぱいいたと?」
「そうですねー。絵本描きたいんでしょ?なんで描かないの?と言ってくれる人だったり、
 何かしようとしたことに対して後押ししてくれる人がたくさんいる環境でした。」
「僕はその反対で、中学の時に漫画家になりたい!と親に相談したら、
 漫画家じゃ飯食ってけないからやめておきなと諭されましたw。」
「子供って純粋ですよね。親に言われるとその通りだと思っちゃう」
「そうなんですよね。さらにあなたが苦労しないために薬剤師になりなさい。神様からのお告げです。とか言われてw」
「漫画家否定されたし、なりたいものないし、とりあえず言われた通り勉強しました。
 で、大学受験失敗して、浪人して。で、たまたままだ新設されたデザイン学部があって、
 昔から絵が好きだったし、行ってみようかなぁ~という軽い気持ちで入ったんです。
 でもこの選択は自分でしました。」

 

こんな会話をしながら、誰かの想いや、やりたいことを後押しできる環境があることで、
自分を取り戻せるんだろうなぁと感じました。
僕自身は親のトラウマに悩んでいたこともあり、
子供たちには危険なこと以外はやらせてあげられるような大人になりたいと思いましたし、
これはプライベートでも仕事でも同じです。

職場でもやりたい!と思ったことに対して声を挙げて、
その想いに共感した人達が自然発生的に集まり、
ワチャワチャやれる機会を創り出したい。
そんな想いでこのクリラボも続けています。

多様性のある作品と本質に迫る表現について


今回でワークショップは5回目を迎えました。

毎回学びと気づきに満ち溢れています。

出来上がったみんなの作品を見て、それぞれ切り口や表現の方法の多様性にワクワク。

カットの仕方も様々で、力強い絵、柔らかい絵、リズムを感じる絵。

見ていて飽きませんでした。

 

僕は何もしてないのですが、講師の方々にはいろいろとヒアリングして頂き、

参加者の発想力や表現力をどのようにしたら伸ばしていけるのか、

創発が出来るのかを献身的に考えて下さる方々ばかりです。

 

なるかわさんにも、

行き帰りの車の中でずーっと話し込んで頂きました。

 

絵本作家として僕は本質を描きたいんです

 流行とかブームの乗った絵本なんかも結構ありますが、

 僕はどうでもいい。

 

 本質を伝えることに専念したい。

 絵本作家というよりも活動家に近いのかな。」

 

と話しをしているなるかわさんは輝いてみえました。

子供の気持ちに寄り添うなるかわさんの活動にも注目していきたい。

可能であれば何か一緒に出来ると良いなぁと胸躍らせています。