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【造形思考】ハイブリッドスタイリング EVコンセプト編

1.ハイブリッドモデリングという方法


普段の仕事ではスケッチを描くことが多いヒラメキクリエイターTakebonです。最近では、スケッチからモデリングまで全てやることもありますし、途中からモデラーにバトンタッチすることもあります。理想はデザイナーが全て見ることができると良いですが、デザイナーの役割としては、全体のバランスを美的感覚によって、整理していくプロセスが最も重要だと考えます。3D空間上でないと、見えてこない形もありますし、制約がある中で、如何に造形をまとめていくかもデザイナーの力量と直結しています。結果アウトプットした造形が美しいかどうか。バランスが良いかどうか。そこが評価の分かれ道にもなります。パズルの組み合わせのように機構が複雑な中でも、如何にスマートな解決策を見出せるかは、3Dデータを読解する力が無いとなかなか難しいかもしれません。このようにスケッチ展開から、モデリングを行い、造形検討をスケッチとモデリングを行き来する方法をハイブリッドモデリングと名付けました。

 

 

2.造形センス=モデリング経験値=スケッチ描写経験値


造形に対する眼が肥えているかどうかはモデリングの経験値と比例していきます。モデリングをやればやるほど、造形力は上がりますし、スケッチを描けば描くほどそのまとめ方は上手くなっていきます。スケッチとモデリングは相互補完的な役割も果たします。スケッチで描ききれない部分をモデリングで検討したり、モデリングでは検討仕切れない部分をスケッチでトータルに検討したりすることで、よりよい造形解が見出せる事が多いです。時と場合によってツールを使い分けしながら進めます。スケッチ→CG→CADの間を行き来していきます。これからのプロダクトデザイナーにとって、モデリングツールを使いこなせるようになることは必須だと思います。僕の場合はモデリング経験は未だ3年程で日が浅いですが、最低限三次元上で形をコネコネ出来るようなレベルまでは来れたかなぁといったところです。

 

 

 

3.手描きスケッチの重要性について


ある程度形がわかるレベルの必要最小限スケッチを短時間で描けるかどうか。いきなりモデリングから入ることはしません。やはり全体のデザインバランスやカラーリング、ディティールの詰めなどはスケッチで描き切ることが重要だと考えています。モデリング作業をしていると、意識は蟻の目になってしまいますので、スケッチ段階で如何にトータルバランスを整えておくかがポイントになります。直感的にしっくりくるかどうか。これがtakebonの評価ポイントです。しっくり来るまでは暗中模索です。ある程度見えてきたなと思ったらそこからモデリングに移行していきます。

 

 

4.EVカーのコンセプトスケッチ


キースケッチです。このスケッチを元にラフスケッチ着色を進めました。実際にはこのスケッチに至るまでに、アイディアスケッチを複数案作成していますが、ブログテーマとズレるので割愛します。別稿で紹介いたします。

 

屋台は独立して取り外すことができるような仕様にしました。アイキャッチ用で屋台部に提灯を搭載。提灯以外でも、風鈴や、スピーカー、コミュニケーションロボットなどユニット式で取り替え可能にします。上図の屋台の想定はわらびもちや、ういろうなど、鎌倉で販売されている商品を想定しています。サイドドアはお客さんが集まってきたらすぐ接客に移れるように、取り外しが可能か、もしくは廃止して、乗り降りがスムーズになるような想定でした。

 

タイヤ、骨格フレーム、座席部など基本的なレイアウトは頂いた3Dデータに基づいて、キャプチャー画像を下絵にしてスケッチを起こしました。

 

 

5.EVカーのCGモデリング


スケッチを元にまずはざっくりモデリングをしていきました。サイド部、フロントパネル部が特徴。屋台のひさし部分もおおまかに形状を作っていきました。

 

インテリアと全体バランスをスケッチで調整。一旦ラフレンダリングを出力してその上からスケッチでバランスを検討。通常であればモデラーがモデル、デザイナーがスケッチという分担作業ですが、今回のこのデザインプロジェクトでは一気通貫takebonオンリー制作です。

 

一旦途中のレンダリングを出力。パースビュー、上面ビューもある程度しっくりくる形になってきました。インテリア部分はまだ適当なので、これからさらんい作りこんでいきます。

 

CGモデリングでサイドビュー、正面、上面とアングルを変えながらポリゴンを調整していき、形を整えていきます。簡単に木目調テクスチャーもつけてみましたが、少し大味ですね。
アクセントで後輪カバー部にロゴを配置して屋台のオシャレな雰囲気を出しつつ、 船の中で使われるような照明などの小物を配置。木の質感はテクスチャなのでどうしても限界がありました。なかなかうまい具合にレンダリングできません。うーん。あーでもないこーでもない悩みどころが満載です。屋台のディティールもここから詰めていきました。

ようやく形になってきました。屋台も単独でみえる形に。カフェっぽさを出すために、ロゴーマークなど配置。木目調テクスチャーもようやくいい感じに仕上がってきました。

 

最終出力デザイン画になります。リアタイヤカバー部にオリジナルのコーヒーマーク。屋台看板部に鎌倉を象徴するアジサイマークをアクセントで入れてみました。