11月8日にスガツネ博にて川崎和男先生セミナー「実践的デザイン論」を聴講させて頂きました。
スライドレール、蝶番など、可動機構のアセンブリを製造しているメーカーです。
セミナーも開催されており、デザイナーで医学博士でもある川崎和男先生が講師。
10月に心臓発作による除細動器の埋め込み手術をされたばかりですが、川崎節は炸裂でした。
・「Design Thinking」はデザイン思考というのは間違っている。
・思考という漢字の原意を考えるべき。
・IoTはIoMetになるべき。
・思いつき商品が世の中に氾濫し過ぎている。
・日本はダメだ!
などなどその意見の激しさに、戸惑いを隠せない人は多いはずです。
ですが、誠実で自分に正直だからこそ、嘘をつかず、自分の信念に基づいて罵倒し、
自分自身を鼓舞している先生の姿をずっとみてきました。
■画期的な消毒方法
紫外線による、薬剤を使わずに手洗いが可能な製品。
UVC,UVBなど深紫外線によるもので、グリップを手で握るだけで消毒が可能な製品です。
お金がなくて量産化までは至っていないとのことですが、
何か少しでもお手伝い出来ないかな...とも思いました。
http://www.ouzak.co.jp/blog/?p=48363
■解という言葉について
分解→溶解→解体→解剖 解釈→解説→理解。
情報=informationという訳は間違っている。
情報=Information,knowledge,intelligence,conciousnessである。
森鴎外がインフォーメーションは「情勢報告」であるという定義付けをしましたが、
そのことは忘れ去られているということのようです。
「情報」という言葉に対する複層的、深層的意味合いをもっと探求しなければなりません。
■今期目標である「ち」に込めた想い
この「ち」という言葉には、日本語として、
さまざまな意味が込められていることを先生から教わりました。
いのち、きもち、かたち。デザイナーはこの3つのデザインをしていくことが使命。
ち=知、血、地、智、値。会社の朝礼で読み上げる目標の漢字の意味はその日によって変えています。
知らないことを知る!DNA=血!地域貢献!文殊の知恵!習慣を治す!
など、「ち」という言葉の深さと広さを感じながら、
自分自身の日々の想いをちという言葉に集約していくことで、
血肉化していくつもりです。
■健康に関する考え方 反健康・半健康・範健康
僕の出身校である名古屋市立大学の芸術工学部は「健康」がテーマの学校でした。
【反健康】から【範健康】へ。医療や治療は反健康を健康状態へ戻すため。
模範となる健康が大切であり、そこには日常の予防が大切であるということです。
「医療にはメディカルケアを、介護にはヘルスケアを
健康にはライフケアをデザイン、デザイナーとして、
コンシリエンスデザインに集中させなければと提案し実施している」
http://www.ouzak.co.jp/blog/?p=35554
「反健康=健康では無い=病気・病
半健康=いわゆる一病息災という日常的な病を持っている
範健康=健康であるためにどれだけ体調管理・保健であるか」
http://www.ouzak.co.jp/blog/?p=9905
現在勤めている企業でも医療機器から健康機器(美健雑貨)まで、取り扱っているので、
メディカル、ヘルス、ライフまで、一気通貫したプレゼンテーションが可能だと考えています。
僕が今回のセミナーで最も印象的だったのはこちらの先生のブログで紹介されている
図解でした。
医学と工学では対症療法にしかなり得ず、看護と保健の領域で予防があるということです。
私自身この3ヶ月で思考してきたことのヒントを頂きました。
日常生活の中で如何に保健と看護を意識しつつ、病気への予防をしていくか。
模範となる健康状態とはどんな状態のことを指すのか?
を常に考えていく必要があることを気づかされました。
■デザインは問題を解決する解答商品を生み出すための手法
①【話題】topicsに【応答】Replyするだけの商品。
②【課題】Questionに【回答】Answerを用意する商品。
③【問題】Problemに【解答】Solutionを提示する商品。
先生は応答商品が日本には氾濫しすぎていることを嘆いておられました。
先生自身の作品では問題に対する解答商品のみを産み出すことを目標にされています。
具体的な作品としては、ミネビアの「Cool Leaf」があります。
クリーニングルームなどで使用されるPCのキーボードには
雑菌が湧いているという問題を解決する商品です。
当時としては極めて新規的である圧電素子を搭載した打鍵感のあるキーボードでした。
思いつきからは応答商品しか産まれませんが、
それを思い込むことによって回答商品が産まれます。
現在勤めている企業では効果効能のある商品でなければ量産化が出来ないという条件があり、
単なる応答商品は作れないシステムになっています。
目先の目標はこの回答商品を創り出し、
社会課題を解決していく体験を生み出すことだと認識しています。
そして、長期的視点では
問題への解答を導き出せる製品から商品作りをしていきます。
その上で、やるべきことは、自分自身の見識と良識を磨いていくことだと思います。
■一期一会
私自身は、先生がいなかったら、転職も考えていないし、
その時の環境で満足していたと思います。
改めて先生の前で感謝を述べさせて頂きました。
セミナー受講を快諾頂いた上司にも感謝致します。
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